音信不通は籠の鳥の証明
大切さんとの音信不通がここ数日続いている。
年に数回あること。
はじめのうちこそえらく心配したものだが、今はもう落ち着いて経過を見届ける余裕がある。
彼女はときたま寂しげに文句を言う。
言いたい事もよく分かる。
だけど私は『全てを捨てた重度身体障害者』なのだ。
私からは『動けない』のだ。
『物理的』に。
どれだけ心を動かしても、私は『籠の中の鳥』でしかない。
様々な事柄に疲れ果て、私の声すら邪魔になってしまう沈んだ時の君だから、私はただ穏やかに待つのみだ。
またいつか君から、甘えを求めたラインが届くまで。
そしてもしこのまま音信が途絶えたならば、それもまた穏やかに受け入れるだけなのだ。
私はここに居て、狭い世界から全てを眺めている。
籠の中の鳥なのだ。
そしてそれを選んだのもまた己なのだ。
きっと今日も淡々と流れ行く。
宵はじめの空に、きっと素敵な喰われた月が昇るのだろう。
私は籠の中の鳥。
今日も明日も明後日も。
ただ穏やかに。
ただ穏やかに。
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