Reiko's Blues

彼女の事を詳しく知る訳ではない。
縁があって私の訪問看護の担当となっているだけだ。

それでももう足掛け数年の間柄だ。
気心知れた仲になるようなものではないだろうが、互いに気さくに話せるくらいにはなっているはずだと自負している。

今回の訪問看護ではルーティンのうちの一つである足の爪切りが必要なかったから、かわりに簡単なマッサージをしてくれた。

暫らく空いてしまっているリハビリや季節柄のせいで、酷く凝り固まって痛みを生じている身体には、たとえ僅かな時間の『手当て』であったとしても、確かな解しや癒やしや温もりがそこに存在していた。

全てが済み、次回の予定を確認しあいつつ、僅かな雑談にまた花が咲く。

三好礼子(山村礼子)が表紙を飾る私の雑誌を見て、
「同じレイコなのにこんなに違うなんて」
と彼女は言った。

そう言えば彼女もオートバイ乗りだったか。
彼女の事を詳しく知る訳ではない。
縁があって私の訪問看護の担当となっているだけだ。

遠く北海道を旅立ち、様々を経てこの地に辿り着いた人。

年老いた母親を呼び寄せ、今は二人で暮らす人。

息子は立派に育ち、今は福祉界で仕事をこなしているらしいことを、きっとまんざらでもないような気がしてる人。

昔はオートバイで横浜に一人で行ったりしたんだよと、ちょっとお姉さんぽく語る人。

私の担当看護師は、今も彼女なりのブルースを奏でて居るに違いない。

そう、『Reiko's blues』を。
※このお話しは、非常に数少ない今の私のリアルな接触をしている方々を、ショートストーリー風に書いてみたいと言う『遊び心』で試験的に書いてみたものです。
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